特別養護老人ホームに適した土地とは?

市街化調整区域でも建築可能?

市区町村では原則市街化区域の土地が好ましい、ということで公募されることが多いですが、現実には他の建築物を建てられるところで広大な土地を入手して事業をするのは収支があわず、多くの場合調整区域で建設されていると思います。土地は必ずしも所有してなくとも長期の賃貸という形でも可能とされる場合が多いです。

原則として市街化調整区域での建築は不可ですが、社会福祉法人による公益的建築物である特別養護老人ホーム、保育園などは例外的に建築が認められています。とはいっても、一般に道路幅員・接道6m以上(緩和される場合もあるようですが原則。自治体の条例等で差異有り)、給排水(本下水が無くても、少なくとも排水溝は必要)といったインフラは必要になります。

一般には調整区域では農道的な道が多く、市街化区域のようには道路もインフラも整備されていません。しかし調整区域なのに道路もインフラも整備されている土地もあります。

例えば市街化区域に隣接する市街化調整区域です。市街化区域のために整備されている道路・インフラですが、道の反対側が調整区域だとすれば、それらは使わせていただくことが可能です。

「特別養護老人ホーム」に適した土地
  • 市街化調整区域で市街化区域に隣接
  • 幅員6m以上の道路に6m以上隣接
  • 概ね3000㎡以上の土地

広域型特別養護老人ホームの建築計画について

建物構造は?

構造的には従来RC(鉄筋コンクリート)造ラーメン構造が多かったですが、昨今の建築費高騰もあり、S(鉄骨)造ラーメン構造での計画も増えています。

上下階の壁位置が近似している場合、耐火ツーバイフォーなども検討の対象になっています。壁で支えるため自由度は少なく、大きな開口もとれないですが、建築単価はだいぶ有利になり、かつ重量が軽くなるので、杭でなく柱状地盤改良を採用できるとか、基礎を小さくできるなどで確実にコストは落ちます。

部屋のタイプは?

部屋タイプは、10年ちょっと前からは個室ユニットが主流となっていましたが、 最近は多床室も見直され、弊社のある千葉県では6:4〜4:6などと多床室混合を指定して公募する自治体もあります。

ユニット型の場合は「8から12名程度で1ユニットとする」といった方針がありますが、広域型の場合100名で公募されることが多く「10名×10ユニットとする」ところが多いようです。 多床室混合の場合は「10名×6ユニット」+「(多床室4名室×2+2名室)×4ブロック」などが考えられます。 それぞれの個室にもリビングにも採光窓が必要になりますので建物はコの字型が連続したような形や中庭が点在するような形になります。

ユニット型の場合、自治体にもよりますが、

  • 1ユニットにトイレ3箇所以上
  • 「リビング」まで3室以上離してはいけない
  • ユニット間での行き来は不可

など、認可上守らなければならないルールもあります。

また建築基準法以上の内装制限、換気条件を設けるなど、確認申請でOKであっても認可条件のほうが厳しい基準もあるので留意が必要です。

建物の高さは?

特別養護老人ホーム(行政の方は特養と呼ぶことが多い。なぜか建設業の方は特老と呼ぶ人が多いですね)を運営される方に建物の高さについての意見を伺うと、なるべくなら低層(2階〜3階建て)にされた方がお世話は効率的にできるそうです。上下階の移動は大変だし目が届きにくいということでしょう。

本当は平屋がもっとも運営しやすいのかもしれませんが、(併設施設有無にもよりますが)全体の延べ面積で4000㎡弱くらいは必要になるので、もし建ぺい率60%MAX(調整だと50%MAXも多い)でも6500〜7000㎡くらいの土地が必要となってしまう為、首都圏での確保は困難と思われます。

また先に述べましたように特養は市街化調整区域内に計画されることが多く、第一種低層住居専用地域並みの規制をかけるなど、2階もしくは3階までしか建てられないところも多いです。

特別養護老人ホームに必要な資金と募集時期

特別養護老人ホーム100名対象では、土地の状況・併設施設・その他さまざまな条件によりますが、延べ面積が4000〜5000㎡くらいになります。

いつ募集されるのか?

市区町村ごとに、社会福祉施設建設等は3年ごとに計画を立て、これにしたがって募集をかけることが一般的です。

ストレートに市区町村の担当窓口に相談すればおおむねの時期は回答いただけると思います。対象地域がきまっている場合、当社のほうからおたずねすることもできます。

よく「どうなんだろう?」と、知っていそうな人、建設会社やコンサルを名乗る方や、事情通らしき人などに相談される方がいらっしゃいますが、できれば役所の担当部署に聞くのが一番です。

なんの計画もない、ということはあまりないし、それが非公開ということもあまりありません。

必要な費用は?

費用としては、建設費・備品費・運転資金・設計監理費・調査費等が必要になります。

資金としては、都道府県補助金、福祉医療機構融資金、民間金融機関の協調融資があります。

くわしくはお問い合わせください。

当社では、関東圏であれば申請・融資で必要なプラン作成のほか、

  • 県(都)担当課への補助金申請を含む 申請書類全般作成
  • 福祉医療機構の融資手続きのお手伝い
  • 社会福祉法人の新設手続き

等のお手伝いも可能です。