ちとせ小町

平成23年9月 「特別養護老人ホームちとせ小町」が竣工しました。本物件は平成21年秋からのプロジェクトで、国の補助事業です。市の選出、県福祉担当課との協議、市開 発担当課を通じての県開発審査会対応、等、設計だけでなく経営計画的なところまで踏み込んだ検討・書類対応が必要です。

なるべく低層、使いやすくシンプルな動線、明るく開放的な雰囲気、和風なテイストといったご要望、また事業者様には毎回定例会議にご出席いただき、すでに長年経営されているケアハウスでの経験を生かしたアドバイスも賜り、非常に参考になりました。 おかげさまで非常に使いやすそうとの評価をいただける建物になり一安心です。

DATA

事業主体社会福祉法人 千歳会
用途特別養護老人ホーム(各ユニット10名×10ユニット)、デイサービス、地域交流スペース 1F:4ユニット+デイサービス+地域交流スペース 2F:6ユニット
構造規模鉄筋コンクリート造ラーメン構造 2階建て、建築面積:2099.56㎡、延べ面積:3658.11㎡
敷地面積4451.32㎡
施工株式会社大城組
主な仕上屋根:外断熱アスファルト防水コンクリート押え 一部瓦、外壁:磁器質タイル・吹付塗装 一部ジョリパットコテ仕上げ
内装:天井・壁 石膏ボード ビニルクロス張り他  床 二重床 シート張り
設計株式会社イデア建築設計事務所

お客様の声

動線がわかりやすくシンプルで死角がなく、 とても使いやすい施設になったと思います。

佐倉らしく和風のイメージというリクエストをさせていただきましたが、 エントランス前の瓦屋根、左官仕上のあたりなど、とても気に入ってます。 費用面でも予想以上にローコストになり、助かってます。 しかしそれとは逆に、全体のボリュームを抑えてあるのに内部がとても明るく広々とした感じ、 仕上材も高価なものではないが安っぽくはならない、といったところがいいですね。

私も毎回打ち合わせに参加し、タタミ柄や昔の板貼り風の床シートの採用など、 いろいろと検討に加われて、参加できたので、たいへんでしたがある意味建築期間楽しませてもらいました。

エントランス前アプローチ。
建て主要望もあり、瓦葺の数寄屋風とした。
床は瓦タイル 四半敷貼、
車寄せとして停車、通り抜けもできる。
アプローチ前から地域交流スペース前
駐車場はグリーンブロックを使用、
芝生となっている。
中央に集水された雨水、屋根・中庭の雨水は
すべて建物下の貯留層に流れ込む。
東側外観 一時避難用兼エアコン室外機置き場としてのサービスバルコニーが連続している。室外機に面する位置に3連のボイド穴を開けた。 (タイル部分はホローブロックを使用)
北側外観 避難用階段と滑り台が隣り合ってみえる。これら鉄部は亜鉛メッキドブ漬けとしてあり、SOP等に比べ、格段に錆びにくい。
風除室上部。上部の窓はアプローチ正面瓦の上に見える窓。
風除室床、畳〜内部田舎風板貼り・・・実は本物ではなくシート。 建て主様のアイデアである。はいったところはホール。
椅子テーブルが未設置のホールから吹き抜けを望む。
吹抜上部。右側ガラスブロックは階段の窓。
ユニットのリビング。中庭に面しているが、窓をめいっぱいとっているので結構明るい。椅子・テーブルが未設置。
窓をあけて中庭を撮影。
もちろん外に出られる。
リビングキッチンのレイアウト。
ユニットと個室のサイン。
ユニット名はい、ろ、は・・・が採用され、
番号は4,9抜きになった。
個室名はい-1からぬ-12まで100通りである。
個室レイアウト。ベッドは左側に設置。
右側にもちこみでタンス、
洋服棚等を設置してもらう。
奥の書院。ベンチとしてもちょうどいい。
窓は通常時はバルコニーに出ない設定。
個室の面する廊下。
半自動ハンガードア、手すり、
ナースコール表示灯、
復帰スイッチ、各室サイン設置。
浴室に向かうサニタリー廊下。
突き当りが厨房。
右側に洗濯室、リネン室など。
浴室。天井、壁はヒノキ柄のバスリブ。浴槽立ち上がりは低くした。 床は防滑性のタイル。
浴室外部の小庭園。建て主様要望による。
浴室入口。やっぱりノレンですね。
トイレのオリジナルサイン。
2階の一角に足湯スペース。
これも建て主様の要望による。 いすと桶を設置し、職員が各自の桶にお湯をいれて置く設定。
2階の個浴室。3方から介護できる。
ドアは3連引き戸。
地域交流スペース。オープンカフェ風のフルオープンにできるアルミ折れ戸を採用。床材を内外同じにし、連続している風合いとした。
入口夜景。

(以下、現場写真)

施工前の状況 北側から南を望む
南側から北を望む
施工前東側道路対面から敷地を望む
施工前南側道路

道路付けは東に幅員20m、南に幅員6mで本下水、水道とも入っており、調整区域とは思えない好条件。 しかし敷地内はかなり起伏があり、北側の状態をみると、昔山林を切り開いて盛り土がされてやや平坦になっている感じであった。 いままで建物が建てられた履歴はない。

地表レベルだけでなく、地下の地盤上状態もまったくわからないので、まず安価な、スェーデン式サウンディング試験を細かくやり、地質の傾向をみたところ盛り土やガラの影響があり、ある程度N値が出る深度も3〜10mとばらつきが大きいことがわかった。

このため土質ばらつきやガラに強く、電流抵抗値で規定N値の層まで掘削するという大口径の柱状改良工法を採用した(アラタ工業㈱ECM工法)。

整地状況。地盤改良の重機と、北側間知ブロックが搬入されている。 南側地盤改良と北側間知ブロックを同時進行。
ECM工法の試験施工。
北側間知ブロックと地盤改良終了後、改良体天端。
改良体天端と捨てコンクリート打設。
基礎配筋型枠工事
 各個室、便所等随所から排水管が下りてくるのと、施工性、より一層の安定性を求めて、全面べた基礎(耐圧版)とした。
1F床下にはすべてピットが存在し、配管メンテナンス、将来の取り換えが可能となっている。
1階床型枠工事。
2階床配筋。
R階床配筋。
屋根アスファルト防水。
屋根外断熱施工。